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幸せな変態のささやかな愉しみ

 

 爛れた「儀式」の場たる我が家の地下室。

 

 今日は傷だらけで臭い貧民の子を菓子で釣って、引っ張り込むのに成功しました。とりあえず暴れられると厄介なので縛っています。

 彼女はガタガタ震えていて、何と愛らしいことでしょう。

 

 早速 小さな身体を包んでいた汚い服を引き裂きました。

 高笑いしながら全身を洗い髪を梳り、 淫猥な音を立てて皮疹に白くどろっとしたものを塗りこみます。

 

 彼女の膿瘍や粉瘤に熱く熱く炙った針を刺し、どろりと濃い膿を絞りだします。カスタードクリームのようなそれを膿盆に載せてしみじみと眺めていると、私の胸は耐え難い悦びに打ち震えます。膿盆に膿、ブリーフケースにはブリーフ、それが私のポリシーです。

 

「ほおら、こんなにいっぱい出たよ」

 

 その傷口に、何でできているかとても私の口からは言えない……多分飲むと死ぬ薬剤をたっぷりと染ませてあげます。

「いひひひひ」

と私が笑うと、彼女は半分気絶したようになってしまいました。

 

 それから、細い体を滑らかな海島綿の服に押し込んで、嫌がる彼女の口に怒張したA5神戸牛を突っ込み、小さなそのポケットを裂けんばかりに菓子で圧し拡げました。

 

 そうやって小一時間、欲望の限りを尽くして、わたしは心行くまで愉しみました。

 

 お愉しみが終わると、ワンボックスカーへ彼女を押し込み

「またいつでも可愛がってやるからな」

とその子を拾った街角へうち捨てました。

 もちろん、ただで解放なんかしません。

 真新しいゲンナマでぱんぱんにした、目を背けたくなるほど惨たらしく重いリュックサックを細い肩に食い込ませて、です。

 

 彼女は何処のお嬢様かと見まごう出で立ちで、ぽかんと私を見ていました。

 貧窮しているネズミの巣のようなねぐらで彼女を待っている哀れな親が、変わり果てた娘の姿を見てどんな気持ちになるか、考えただけで身震いが出るほどの加虐的エロティシズムです。

 これからこの娘の一家は、真新しい紙幣を数えて一枚一枚のめくりにくさに苦しむのです。ひょっとすると紙の縁で指を切ってしまうかもしれません。

 想像するとたまらず、声が漏れます。

 きひひひひ。

 

さあ、次はどの子と愉しもうかな。


 

          <了>

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